世界共通の思い

総移動距離2500km18時間かけて行った場所は
フィリピン、ヌエバビスカヤ州アリタオ村。
首都マニラから車でぶっ飛ばして(ほとんど暴走)8時間もかかる山奥の村です。
水田地帯を抜け、工業地帯を抜け、山道を不安になりながら登っていく…(気分はドナドナ)

出発したのはまだ陽も高い灼熱の太陽の下だったのに、もうあたりは真っ暗闇・・・心細くなります。


生活できるのか?というほどの電気しか通っていないのに(一家に裸電球一つだけ、とか)喧騒と活気のある町や部落をいくつも通り過ぎて着いた、ばよんぼん町の小さなホテル。

(ばよんぼん…可愛い名前…)

離れた家族を思うとものすごく寂しくなったけどwifiは繋がらないし、持ってきた本を読む元気もなく、旅の疲れのおかげでいつのまにか眠ってました。


翌朝、待ちに待った子供達に会えるまで時間があるので市場で時間を過ごします…が!

鼻をつく匂いが半端ないよ!

昨日レストランでフィリピンの料理が馴染めないと嘆くメンバーに

『全然美味しいし!私ここで暮らせるかも〜』とご機嫌で言った自分を叱咤したい!お調子者の私!バカ!

この市場で買った食材でご飯作れる気がしないよ!

謎の液体を売るおじさん、怖すぎるよ…

生きるってすごい事なんだと、改めて自分の甘さを思い知らされます。若い頃はバックパック的なことも全然余裕だったけど、歳とったな、私。


ホテルを出発し、山道をまた暴走しながら今回の目的地となるクタール小学校へ。

海外教育支援団体yes30の建設した教室の開所式。

カラフルに彩られた小学校にはためくフィリピン国旗がなんとも誇らしげでした。

可愛い子供達のダンスやマーチングバンド、先生の恥ずかしげなダンスの披露までしてもらい、町長さんはじめ、近隣の学校の校長先生、町の由緒ある方々から感謝のお言葉をたくさんいただきました。


"クタールのこの学校で子供達が学ぶ事は本当に小さな事かもしれない。
でもここから村、州、国を超えて彼らが活躍してくれることをみんな心から願っている。
この教育の機会を広げてくれたyes30に心から感謝している"と。

学校に教室が増えた事を子供達よりも喜んでくれているのは先生をはじめとする教育者や母親達でした。

子供達が受けるべき教育を与えられない悲しさは私も親だからわかります。
子供の将来を案じる気持ちや可能性を伸ばしてあげたい気持ちは世界共通なんだと改めてこの事業の大きな意味を知りました。

子供達にとっては今あるものが当たり前に感じるものです。どんなに過酷な状況でも、豊かな状況でもそれがその子の原点になります。
不満も満足もわかりません。
今この瞬間を生きています。

しかし、大人は違います。
知識と経験を持って、今の状況に不満を持ちます。そして子供達の未来を思い、より良い状況を願い、村、町、国の発展を願うのです。
その一端を担えたこの事業の尊さを改めて感じ、そして誇りに思いました。

そしてもう一つ、近くにあるという事でyes30が2年前に建設した教室のあるキラン小学校も訪れる事に。
車でたった20分ほどしか離れていないのにクタール小学校よりもさらに貧しい家庭の子供達で溢れています。
雨が降ると河を渡る事が出来ないため、学校に行けない子供達のために分校を建設し、教室を増設しました。しかし、その地域の子供達は半分ほどしか来ていません。

農村地帯の繁忙期は子供達が働き手となります。
生活の為、家族を支える為ですが、何が豊かさなのか、教育とはなんなのか、子供達の未来を考える時まだまだ問題は山積みでした。

遠い昔の日本も同じ状況だったはずです。いや遠い昔でもない、たった7.80年前の話です。

しかし今豊かな国となり教育を受ける事は義務となりました。平等な教育が受けられるのはそれほど尊い事です。

世界中の子供達の教育が私たち日本人と平等になることはまだまだ先かもしれないけれど、その日は必ず来るとフィリピンの先生方の熱心な教育や母親たちを見て改めて思いました。

子供たちを思う気持ちは世界共通であり、その子供たちが持っている可能性も国や環境によって分断されてはいけません。

小さなきっかけでもいい、自己満足でもいい。

いつか子供達が"学べて良かった"と思える日が来るまで、出来ることは山ほどあります。

改めてyes30との出会いと、この活動に関われたことを幸せに思います。
一緒に活動してくれるメンバーも増えるといいな。



最後に、フィリピンではどの方とお話ししても日本の台風は大丈夫なのか?あなたの家族は大丈夫なのか?と本当に心配してくれました。

私もあまり情報を持ってなかったし、語彙力も弱くて上手く説明出来なかったけれど、日本のために祈っているからね、と伝えてくれ、相手を思いやる気持ちの豊かさが沁みました。

今も世界のどこかで誰かが祈っています。
1日も早く日常に戻る事を私も祈っています。

加藤典子

愛知県豊川市議会議員。一般社団法人こどもがわらうとせかいがわらう代表理事。誰かを支えて頑張っている人を支えたい。 こどもがわらうとせかいがわらうイベントの詳細はこちらで。http://kodomogawarau.net